DREAM 5を見て、青木の事を考えた

職場では、気合いで地上波を見ない努力の末に帰宅。
地上波を録画しつつ、PPVも購入という谷川の思うつぼというような視聴行動だ。


以下雑感。


▼中村−オロゴン


地上波でも中村大介の腕十字が映って嬉しいっす。盗撮男に感謝だな。


▼宇野−青木


いやぁ、宇野があそこまで一方的だとは思わなかったなぁ。
あのリーチ差があるから、打撃が得意な人でも自分から入っていかざるを得ず、そんでテイクダウンを防げないのね。
自分から攻めてかなければいいのになぁ、と思いました。
あるいは我らのブラック・マンバが、とにかくブンブン振り回していけばどうかなぁ、とか。


でも、あの三角からの逃げで、意地は見せたか>宇野。
ちなみにやたら煽りVが長かった。


▼川尻−アルバレス


殴り合い、面白かったっす。


あ、そういえば試合前に出されたTKチャート(選手の特徴をグラフ化)とか、
試合中にTKが書くチョークボード解説(画面に書き込むやつね)は、
いらないと思いました。
臨場感をそぐこと、この上なし。


▼マンバーハンセン


マンバ負けて残念。


▼所ー山崎


この試合って急に決まったんだっけ。
そうじゃなかったら、煽りVは質が低すぎだなぁと思いましたよ。
弟子にやらせたんじゃないかと邪推。


所の打撃が開眼しまくってて、びっくり。
これからは、打撃が当たった後に、寝技にいってしまう癖を我慢する必要があるんじゃないすかねぇ。
それほどの切れ味でした。
(まぁ山崎の打撃の腕は知りませんが)


▼ハントーアリスタ


そんなに簡単にアリスタに負けると、かつて頑張って勝ったヒョードルの功績すらも、曖昧なものになってしまう気がしました。


▼秋山ー柴田


あれなら今の金奉泳は、秋山に勝てるんじゃないかと思いましたよ。
そんなに強さを感じませんでした。
右のガードが低いから、柴田の宝くじ的な一発が当たらないかと祈ってましたがそこまでではなかったすね。


▼青木ーハンセン


ここらへんから地上波の録画で見ていて、残り時間が少ないから青木が一瞬で勝ったのかなぁと思ったらびっくり。
アンチ青木の僕ですが、やったー!って感じではなくて、あーーって感じでした。


青木、勝ち運の無い男だとは思ってましたが、ここまでとは。
ただこの敗北をどれだけ、自分の物語に出来るかですよね、青木。


ハンセンと再戦したらおそらく勝つかもしれないけど、でもそれが何かの盛り上がりを産むかと言うと微妙、だなぁと。
カルバンに3回目で勝ったのと同じように。


ハンセンと青木に、すでに物語はないもんね。
むしろ、ハンセンの優勝を試合直後にたたえたアルバレスとハンセンの再戦は強烈に匂いたつし、川尻と宇野や、石田と宇野の物語の続きも、見たい。


じゃぁ、青木と対になる選手って誰なんだろうって話ですよ。
素晴らしい技術を持った青木のライバルとか名勝負は、どこにあるんだろうと。


どんな強い選手でも、寝技師の闘いにはある種の「人間味」があると思うんす。けど青木にはない。
それが青木の孤高の場所だ、と言われたらそうかもしれないけど。



アンバランスな手足の長さ。突出した技術。痛々しささえ感じる、試合前の虚勢まじりの言葉と入場。そして、試合後の赤子のような涙。
勝っても負けても、バラバラなものがバラバラに投げ出されている。
青木の試合には、いつもそんないびつさがあると思うんです。


どうすりゃいいのか、よくわかんないけど。
「DREAMを背負って立ちます」という意気込みにすら、何かの嘘(というか無理)があるように僕には思えます。


青木は桜庭にも五味にもKIDにも、なれない。悪い意味でも、いい意味でも。


そこらへんを青木自身が相対化できた時に、初めて青木の物語が始まるような気がするんですよ。

行けば良かった DREAM3

PPVの録画を今、見終えたんですが、もんのすごく良かったっすよ。DREAM3。
なんたって、宇野が石田に一本勝ち!
そしてそして、中村大介!! UWFネクストジェネレーション!!!!!


青木も石田も苦しめたチョン・ブギョンに対して
あの、DEEPトーナメントでの中尾受太郎戦を彷彿するような腕十字三昧。
グラウンドでも完全に支配!
そして須藤元気に「力石のようだ」と言わせたフリッカージャブから(どっちかと言うと間柴だ)ショートのストレートでKO!!!!!!!!
そしてマイク!!!!
U-FILE CAMPの、田村潔司の弟子の中村大介です」と語り出した中村。


おじさんは、感動しましたよ。
その後は、普通に2、3言感謝の言葉をしゃべってマイクを返した中村。
言いたい事はそれだけだったんすよ。
ねぇ、どう思いますか。


そういえば、試合前の煽りVでも言ってましたよ、中村。


「田村さんに教わった事だけで、世界レベルに通用する事を証明したい」って。


おいおい、それって田村が世界レベルに通用しなかった事、前提か?って
軽い突っ込みの気持ちもわいてきたんですが、まぁ許す(笑)
出稽古なんか関係ない。強くなるのに、方法は一つじゃない。
中村が対戦を渇望する、所英男にも通じる志ですよ。


そういえば、宇野薫も試合後のマイクをこう始めたんです。
「HERO'S代表の宇野薫です」と。
石田よ、川尻よ、お前は「チーム黒船の石田です」と挨拶できるのか?
PRIDE や武士道を背負う事ができるのか? それも一人で。
スラムダンクの三井じゃないけれど、「お前は誰なんだ?」って事ですよ。
そういう事ですよ。


それにしたって、
石田のコーナーに挨拶にきた宇野に対した川尻の態度は、大人気なかった。
握手した手を強引に引きつけて、宇野の耳に何か良からぬ事を吹き込み、
その上で、その握った手を叩き付けるように振りほどいてましたよ!
なんて失礼な!


その上で、準決勝進出者のアピールでも、何か親の仇のように宇野へ対戦アピール。
宇野だって疲れてるんだって!
しかし宇野が「疲れてるんで、帰って家で検討します」てのも妙に笑った。
対戦者同士に決定権があるのか? (あるのかもね)


しかし、それにしても、中村大介ですよ。
田村のほぼ10歳年下の、中村。
田村が中村の年齢だった10年前、1998年、田村はメガバトルトーナメントを初優勝したのです。
僕がHPというのを始めた頃でした。
その時の田村のマイクアピールに、今日と同じように僕は感動したのでした。


http://homepage2.nifty.com/rings/414U-KING.html
(田村の絵を描いたのは、僕の奥さん)


Tシャツのままベルトを巻いて、照れていた田村。
田村がそこから歩んだ10年。
そして、中村がこれから歩む10年。
(そしてそして、そんな人達に励まされながらフラフラと歩んで来た自分の歳月)


これからも、そんな物語の続きを楽しみにできるなら、
薄れかけてきた格闘技への情熱も、まだ消える事は無いのかなぁと、
そんな事を考えた酔っぱらいの夜でした。


格闘技を見て、こんな気持ちになれたのは、久しぶりでした。

G-SPIRITS

タイトルだけ見れば巨人のファンクラブかって名前のプロレス雑誌。


前田とか小川とか佐山とか天竜とか、あの頃のスター達に、あの頃の裏話を聞くという、
プロレス関係者の100人中98人くらいが思いつきそうなコンセプトの雑誌だけど、インタビューがいいので、結構読ませる。


まぁ、あからさまに自分のような「かつてプロレス好きだったけど、そこから格闘技に流れて、
しかも格闘技の今にも飽きて来たし(付いて行けないし)年取って懐古趣味も増して来たよなぁ」みたいな層をターゲットにしてるので、
その策にはまるのもなんだかなぁという感じもするのですが。


今月(月刊誌なのかな)は、小川−橋本戦の内幕を佐山が語るのがメイン。
佐山も、前田と同じく自分の今に都合の良いように過去を自己再編集してしまうタイプだから、
真偽のほどはよくわからないが、猪木との関係とか、小川を全く教えていないと主張するとことか、
あの試合を「やっちゃいけない試合だった」と否定するとこなど、なかなか面白い。


一番興味深かったのは「ハッキリ言ってね、自分はスポンサー回りしていれば、生きていけるわけ」って発言でした。


なるほどねー
僕らは、釣りばかりしてた頃の前田の生活を心配したりもしたものですが、全然大丈夫だったりするのかな。

【ボクシング】川嶋引退

惜しい試合でしたね。
輪島を彷彿させるトリッキーなフェイントとか、愚直なボディ攻撃とか、
ガッツ石松の古典的な解説スタイルとか(「ボデーだよ、ぼでー」的な)なかなか昭和テイストあふれる試合でした。
判定は、ちゃんと見てないのでわかんないっす。
でも川嶋が持てる力を出し切ったってのは、なんとなく感じました。



あと内藤が輪島、ガッツ、具志堅、渡嘉敷の後継者になりうるキャラである事も。
(判定が出た瞬間の「あ”ーーーー」ってリアクションは凄かった)

大晦日ザッピング日記

色々あった大晦日
結局、誰が勝ったんでしょうかね。


秋山と三崎。
勝利の瞬間は興奮したけど、その後、高田に張り手を受けたり、秋山を自分勝手に呼びつけてマイクアピールしたりする三崎に、急速に冷めていくのを感じました。
ただ強いだけじゃだめだ、ってのは秋山に対して語られる言葉でしたが、三崎も同じだなぁ。「お前の事を許さない」なんて言葉を、マイクを使って言ってはいけないですよ。たった今、KOした相手に対して。
秋山を許したり、許さなかったりできるのは、唯一桜庭だけでしょう。
(亀田にしつこく謝罪会見を求めるマスコミに「僕はもう許したのに、誰に謝るの」と語った内藤の姿が思い出されます)
まぁ秋山が勝ったら勝ったで、もの凄い傍若無人ワールドが展開されたでしょうけどねぇ。どっちもどっちすぎる。
「日本人は強いんです」発言については、三崎がどこまで考えての発言かは知らないけど、ある種の反則行為である事は間違いないです。


ヒョードルとホンマン。
試合中すぐにアザのできるヒョードルを見て、「あぁ本当に顔の皮膚が弱いんだなぁ」と高阪戦を思い出したり。
ホンマンは、パウンドを捨ててスタンド勝負に徹すれば勝てたんじゃないかとも思います。ユン・ドンシク一派に学んだりね。
ヒョードルのゴムまりのような腕十字はいつ見ても美しいですけどね。


腕十字と言えば、青木と韓国人柔道家
左目が完全に潰れてるのに続行するドクターとセコンド陣と本人にびっくり。
でも、銀メダリストのあの腕十字には驚きました。
あと、前から思ってたんですが、青木って気持ちは決して強くないですよね。
弱いわけじゃないけど、繊細というかナイーブというか。
心の動揺が試合から伝わってくる感じは、悪く無かったですね(ひねくれ)。


田村と所。
TBSではカットされてましたが、試合後に前田ともめたらしいですね。


http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/2007/2007123103/7.html


もの凄く悲しい気持ちになりました。そんな正月はいやだ。


試合は、どうなんだろう。田村が判定でなく一本で勝った事に谷川が「さすがですね」と感嘆してたのが全てというか。
田村がこれからどうするべきなのか、なかなかいいアイデアがない。
しかし貯金はもう底を尽きかけているような気もする。
真剣に考えるべき時だと思うのだけど・・・


船木と桜庭。
髪を下ろした船木は意外と若く見えたなぁ。
桜庭は、この一年でちょっとは休めたのかなぁ。
桜庭が勝って笑ってる所をみると、無条件に癒されるなぁ。
なーんて感想でした。
ある種、今年の桑田真澄のような境地に達してますね、桜庭。


あとは何だっけ。
KIDの試合はいつ見ても面白いなぁ、とか。
滝本はいい顔つきになってきたなぁ、とか。
「やれんのか」の実況が、妙に昔ながらのアナウンサーばかりで面白かったなぁとか。
「やれんのか」提供の試合がTBSで視聴率を取ったら、谷川は方向性を変えるのかなぁ、とか。


まぁ、そんな事を考えましたよ。
2008年は格闘技界はどこに向かうのでしょうかね。
とりあえずZSTの今後についてHPなどで全く告知されていないのが、心配でなりません。

【U-ZEAL】熱の始まり

土曜日はU-FILEの新たな格闘技興行、U-ZEALを見にいってきました。
ものすごーく良かったんですよ、これが。


U-FILEの興行っていうと「格闘テイストなプロレスか、学生プロレス的な格闘技なんじゃないの?」なイメージがあり、
U-FILEの名誉会員(要するに幽霊部員)である僕ですらも、どうかなぁって思ってたのですが、
いやいや、なかなか、どうしてどうして(説明になってない)。


メインの中村大介の試合が最高だったってのもあるんですが、
全8試合それぞれがなかなかのテンションでした。
なんだかアホみたいな表現ばかりですいませんが。


格闘技レベルで言えば、それはそれなりなのかもしれないですが、
エスケープ有り(5エスケープ)の総合格闘技(KOK直前のボディ打撃ありのリングスルール)を
かみあったレベルの選手が愚直に真剣にやっている感じは、
素直に興奮できたり、胸を打ったりするものでした。
当然の事ながら超至近距離だし、道場だからリングに段差がないので、
もの凄く見やすく、もの凄く迫力があるという。


選手のレベルは色々でも、少なくとも参戦した16人の選手全員が
15分一本勝負の中でグダグダな動きになる事がなかった事や、
いわゆる「U系エキシビジョン」みたいな、作られた見せ場は一つもなかった事は正直驚きました。


前半はパンクラス佐藤光留の「光留塾」との対抗戦だったのですが、これも意外になめていない。
アドバイス修斗的な「はい、そこで足抜いて」なんてのではなく
「てめぇー攻めろよ! 今いかなかったら許さねーぞ」みたいなものなんですが、
これが意外に(そればっかで失礼か)客の温度を上げていきました。
何にせよ真剣なんですよ。至近距離だから、逆にそこは誤摩化せない。
3試合目でようやく一勝をあげれた時は、素直に拍手でした。


あとは対戦カードの一つ一つについて
選手の紹介や試合の見所を病的なまでに綿密に書いたパンフ(というかレジュメ)はなかなかのものでした。
わかりやすいかどうかは別にして、
「ああ、何かがやりたいんだな、伝えたいんだな」って事だけは強く伝わってくるという。
一緒にいった格闘技初心者、見た事あるのは全日と全女だけ、の後輩も、
「あれがあったから楽しめた」と感心していたので、まぁそうなんでしょう。



そして何と言ってもメインの中村大介松田英久の試合は凄かった!
これ、田村ファンのひいき目でも何でも無く、
そのままZSTメインでもおかしくないクオリティがありましたよ。
なんていうか、田村vsヤマヨシ3戦目の試合開始直後の動きを、
さらにハイテンションに、さらに説得力を増して高速回転というか、
DEEPトーナメントの中村大介vs中尾受太郎で中村が見せた
「腕十字をカウンターで返して腕十字!」の世界が全面展開というか。
とにかく、これこそがリングスの続きであるU-STYLEの進化系だ!っと、
興奮してしまいました。いや、今もしてます! 


ビデオが発売されたら、絶対に買います。私。
デジカメ映像でも買いますよ。はい。

【過去】2003年1月 〜森下社長がいなくなった時〜

まさかリングス日記で、森下社長の事を悼む日が来るなんて思いもしなかった。
本当におかしな心持ちでいる。
 
のび太のような顔をして、誰よりもそろばん勘定に長けた、クールな男。
格闘技が本当に好きかは甚だ怪しく、
もし業界が下火になったら、一足先に逃げ出してしまうような男。
そんな勝手なイメージで、僕は森下社長を見ていた。
 
それが合っていたのか、違っていたのかも、もう判らない。
 
彼のモチベーションがどこにあったのか
プライドをこの先、どうやって転がして行くつもりだったのか
おいしい商品に成長した所で、猪木や百瀬にいい様に持ってかれた事について
どう感じていたのか。
 
一度も、本音を聞かないままで、姿を消してしまった。
 
情け容赦のないやり方に、死ぬ程腹が立った事もあったけれど
結局僕は24回のプライド、全てを何らかの形で見てきた。
興奮して落胆して感動して、色々なものをもらった。
 
そして知っている。
プライドは森下社長が作り上げたものだ。
この後、誰かが、我が物顔でプライドを仕切りはじめるんだろうけれど、
それだけは忘れずに覚えていようと思う。
 
++++++++++++++++++++++++++++++++++++
 
自殺の本当の理由なんてわからないけれど
たぶん
高田の引退試合の達成感というのは、何かの遠因にあったんじゃないかなと想像する。
 
全ての出発点だった高田の素晴らしい引退試合を作り終えた後、
心に空白が産まれたんじゃないかと
本当に一方的な想像でしかないけれど。
 
そしてその先のプライドを明確にイメージできなかったんじゃないか。
 
あの日の満面の笑みの森下社長が頭を何回も去来する。
 
安らかに眠ってほしい。
そしてどこかから見ていてほしい。
格闘技はまだまだ先へ進むはずだから。